今回は、辞書ツールから翻訳支援ツールまで、翻訳作業を補助するツールに関するアンケート結果を公開します。
できるだけ生の回答を出すようにしていますが、容易に個人を特定できるものや重複するものについては、修正をしています。
問31:辞書ツールは何をお使いですか(複数回答可)?
辞書ツールを使用されていない方が多いのは意外でした。これには電子辞書やオンライン辞書を使用している方が含まれます。紙の辞書だけ、または支給された用語集だけで作業されているのでしょうか。もう少し詳しく調べてみても面白いと思いました。
問32:検索ツールは何をお使いですか(ネット検索ではなく、ローカルでの全文検索)(複数回答可)?
問33:QAツールは何をお使いですか(複数回答可)?
問34:以下のツールを使用していますか、または使ったことがありますか(複数回答可)?
問35:お勧めのツールを教えてください
- ABBYY FineReader 12:段組PDFのファイルをワードに変換し、欲しい箇所だけ抽出する
- ActivePerl
- AlwaysMouseWheel:マウスとホイールの動き支援
- AutoCorrectBooster
- AutoHotKey
- BunBackup
- Clibor:クリップボード履歴
- Clipnote
- ClipX
- Dropbox
- ESET Smart Security:ウィルスソフト
- Evernote
- Felix
- FileVisor 7
- iTOME
- Jamming
- OmegaT
- PCKeyTalker:数字を読み上げる。無料版もあるが安いので有料版を使用。これなしで仕事はできない
- pdf_as:PDFの結合、分離、回転、削除等々。軽くて機能が多く、大変便利
- SimplyTerms
- SnippingTool:OS標準の画面キャプチャ。任意の範囲が切り取れて、書き込みもできる。軽い
- Soda:フォルダ移動支援
- TextAloud:今だともっと他にもあるのかもしれないが、TTSソフト
- VLCメディアプレーヤー:映像の再生に便利
- Xbench 3.0:無料版を指定するお客様が多いが、内部コードがUnicodeになっている3.0を使うのが絶対にお勧め
- かんざし
- サクラエディタ
- のどか
- バイナリエディタ
- ぱらぱら
- 一太郎:古い一太郎のほうがシンプルで好きだが、今のもIMEよりはずっと良い
- 右クリックでGoogle!
- 秀丸
- 秀丸ファイラー
- 秀丸マクロ
- 知子の情報
問36:購入または導入して失敗だったツールはありますか?
- Logophile:使いこなせなかった。検索機能が心許ない
- FILE DIVER:GREP検索。特定のファイル(おそらく特定のPDF)がフォルダ内にあると固まるという現象が発生したため、使い物にならなかった
- ATOK
- 秀丸:使いこなせていない
- 対訳君
- Dicregate:自分のPCでは挙動がおかしかった。(結果表示サイトの文字化け等)
- The翻訳:少し触っただけで使わなくなった
- OCRソフト:いくつか使用したが、Adobe Readerより良かったものがなかった
問37:使ってみたい、あったらいいと思うツールはありますか?
- AutoHotKey
- JustRight
- Mac用のAHKみたいなツール
- memoQ、OmegaTなどのTRADOS以外の翻訳支援ツール
- Sodaの機能を拡張して欲しい。「参照」でフォルダを探すときはいつでも対応するようにして欲しい
- オフラインで使用できる英文法チェックソフトウェア
- スタイルガイドチェックをより自分向けカスタマイズしやすい何か(企業ごとのスタイルガイドの違いを簡単に管理できるもの)
- 安価な日本語校正ソフト,読み上げソフト
- 映像翻訳ソフトのショートカットキーや検索オプション。現状はあまりにも低機能というか、翻訳者から見るとユーザー想定がずれている
- 音声入力ツール
- 使いやすいアラインメントツール
- 使いやすい対訳検索表示ツール
- 全角半角、one~tenのようなばらついた書き方に対応した数字チェックツール
- 内容をアップデートできる電子辞書
- 入力中の文字を逐一読み上げてくれるユーティリティ(かな入力に対応)
- 訳揺れが分かるツール等、チェックが楽になるツール
問38:翻訳支援ツール(TRADOSやMemoQなど)の使用について
問39:その理由を教えてください
使わない/興味なし(29.9%)
- KwikFinder等で十分検索できる。
- TRADOSやMemoQを使用すると動作が遅くなるため
- TRADOSを使いこなしてメンテナンスする労力を考えるとすぐには導入できない
- テキストエディタが軽くて作業しやすいから。特許はツールは必須ではない。メモリにある訳文が使えるかどうか判断するより、毎回内容に即した訳文を考えるほうが品質がアップすることもあるので。またそれをお客さんから求められる
- ほとんどがMacで動かないので。Windowsも持っているので使うこと自体は可能(Tradosは2009を所有)だが、翻訳支援ツール指定で来る案件はあまり好きでない分野か、もしくはツールを使う意味を感じない案件ばかりだったため現在は基本的にかかわらないようにしている。ただ、ツール自体はきらいなわけではないので、Macで動いて自分の作業に有効に活用できるなら使いたいとは思っている。
- メリットを感じない
- 映像翻訳なので使う用途がない
- 過去に実務翻訳で使ったことがあるが、出版翻訳では手間がかかる割に利用できる場面が少ない印象
- 技術分野が様々なので過去の翻訳資産をそのまま流用できるケースが少ないため
- 却って時間がかかる
- 興味はあるが所持していない。Tradosを使用してみようかと思っているが、値段が高く、難しそうだから先送りしている現状
- 原文に繰り返しがほとんどないから。過去の訳文に引きずられたくないから。便利表現集はエクセルに手入力しながら頭に入れたいから
- 現在の環境に満足している
- 現在の仕事では、必要とされていないため
- 高価
- 最初からTRADOSを使う仕事は請けていない
- 使い道が分からない。使用方法を身に付けるのが手間
- 使えるようになりたいが、使いこなせる自信がないので使っていない。
- 使っている顧客がない
- 私の分野では不要であるため。使いにくいため(Word上書きに慣れてしまったため)
- 持っているが使えるレベルに達していない
- 自分が訳した文が次の翻訳時のひな形になるほどの品質だと思えない。案件ごとの文脈に応じた翻訳をする妨げになる(TMの訳文に引っ張られる)と思う。TMを使わない方が翻訳の力がつくような気がする
- 実際には使わなくても仕事に支障がない
- 頭と手のトレーニング機会を減らしたくないから。ツールのメンテナンスに時間を取られたくないから
- 必要がない。エディター上で作業できない
- 翻訳メモリーはツール特性として1文単位の思考に流れがちになるが、自分がめざす翻訳はその対極。なにも足かせをつけて翻訳することはない
- 訳文作成スペースが狭い
- 要求されたことがない。習得が面倒そう。今使っているツールの能力を飛躍的に上回るようにも思えない
どちらでもない(24.6%)
- MemoQがクライアント指定
- TRADOSを購入しましたが使いづらい
- クライアント指定
- ツールなしでもきちんと翻訳できるスキルを身につけるべきだと考えていたのと、私はツールの悪影響を受けそうだと思ったから、以前は全く使うつもりがなかった。最近は結局チェッカーさんやクライアントの担当者は訳文を評価できているとは思えないため、へんてこな訳文でも、というか、へんてこな訳文の方がかえって評価されてたりするのかと思うこともあり、クライアントのレベルまで下げちゃってもっと効率よく作業を進めて稼いだ方がいいのかと思い始めている。以前は使わない/興味なしだったが、今はどちらでもない。
- ツールを使用する案件を受注していない。ツールを使った方が効率的と思われる案件についてのみ,個人的に使用する程度で頻度は低い
- つかったことがないのでよくわからない。特許翻訳で使っている人をあまり聞かないので関心をあまり持たなかった
- トラドスは購入済みだが、使いこなせていない
- 指定されれば対応する
- まだ購入していないが、用語集としての機能と、腱鞘炎になったので、少しでも手指への負担を軽くしたいので、将来的には導入しようかと思っている
- 既存のお客さんの要望または是非やりたい仕事内容であれば検討する
- 興味はあるが、以前(10年ほど前)、購入しただけで習得する時間を取れなかったことがあるので、購入をためらっている
- 興味はあるが、業務では使う場面がない
- 業務内容によって適不適がある
- 現状は映像翻訳に対応したものが少ない。まだあまり長い尺を引き受けないので、手作業で何とかなってしまう
- 個人的には興味がないし、むしろ嫌いなのだが、IT翻訳という性格上、使わないわけにもいかないことが多いので、翻訳会社指定のものを、やむを得ず使っている。(特に指定がない案件はテキストエディタで済ませている)。※支援ツール自体が嫌いというよりは、支援ツールならではの作業が嫌い。(他の方の訳を流用して、差分だけ虫食い的に訳す作業など)
- 個別の案件にどこまで利用価値があるかわからないため
- 高価であり、今は仕事で使うように言われていないので使っていない
- 今の環境に満足してしまっていて、他のものには興味がない、という気持ちと、周りに取り残されないように、色んなツールを知っておきたい、という気持ちが綱引きしている
- 作業中の案件中に繰り返しがあるかないか、ある場合はその場所を記憶に頼らず早く正しく見つける方法が(なるべく安価で)ほしい
- 指定案件があったら使うが、分野的に特殊なものが今来ており、Tradosが使えないから。カウントなどで、バージョンが進むほど不利になっているという不信感はある
- 文章の流れを重視した翻訳には向かないため、「翻訳がうまくなりたい」という欲が出るととたんに足枷になる。現在のスタンスとしては、お客様に求められれば使うが、使わない取引先を積極的に開拓し、また、支援ツール必須のお客様にもできるだけ新規率の高い案件を回していただくようお願いしている
- 新規参入分野で必要なため
- 特許翻訳の場合、同じ文章・用語の訳の統一が必要なため、翻訳支援ツールのメモリ機能を使っている(自分の頭だと覚えきれないため)
- 必須だと思うので。でもまだ導入していない
- 法律や金融に適するかどうかわからない。同じ単語でも場合によって訳し分けが必要なので
積極的に使用(35.6%)
- 翻訳資産を蓄えるという意味で、コロケーションや用語集という位置付けで使用。個人的には、既訳文を利用するという使い方は、文書種類によって切り替えている。訳文の質を問われるものには使用しない(訳文が引っ張られるので)
- IT関連では必須であるため。もし特許翻訳などをやるとしても作業効率を改善するために使用すると思う
- MS Officeソフトからテキストを抽出して復元するのに便利
- エージェントからのツール指定がない場合でも、以下の理由から使用しています。進捗が%で表示される。QAチェックが便利。xliffファイルはそのままXbenchで検索可能
- エージェントから指定されるため。ツール指定の案件が多いため
- 指定でない場合も、マニュアルなど繰り返しが多い案件については積極的に使う
- それほどCAT案件はないが、大きな訳ヌケ防止のためにできるかぎり使っている
- ないと類似箇所の表現・訳語がブレるため。以前訳した案件と完全重複があるときは作業が非常に捗るため。
- ミスを減らすため
- やはり明らかに作業時間短縮や訳抜けの防止に役立つ。昔に比べてトラブルも少なくなった。メリットの方が大きい
- 一次訳(同時通訳程度の出力)のみに使用。センテンス単位に別れているほうが、翻訳中の個所を見失いにくいので
- 過去の訳語や表現との整合性を持たせるため。訳抜け防止
- 効率性の向上
- 訳文の統一性を図るため
- 使い慣れているため
- 手作業よりソフトを使った方が効率的なことはたくさんあると思う
- 他の人の翻訳を見ると参考になる
- 品質向上のため。慣れた環境で作業することでスピードもアップする
- 文章単位での訳抜けが起こり得ない、過去に時間をかけて調べた訳語を活かすことができる、クライアント別の訳語集を活用できる、など
- 翻訳会社から、Tradosファイルで発注されるが、Tradosファイルから秀丸ファイルに移して、秀丸上で翻訳してTradosに戻している。タグ処理の問題も解決済み
- 英日対応で表示および編集できる環境はとても便利。
- 翻訳品質の安定化。用語の統一
- 訳抜け防止。同一画面内で原文訳文の確認がしやすい。用語の統一がしやすい。tmが便利
- 原文の形式を維持するため。
- 用語統一や対訳集の作成目的
- メモリがたまっているので…ここまできたら虎と心中する…
ツールについての回答は分野によって偏るかと思っていましたが、それ程ではないようです。もう少し時間をかけて回答を調べようと思います。また、上記のツールなどもきちんと調べて、このサイト上でも紹介していこうと考えています。
次回は、入力に関するアンケート結果をアップする予定です。
では、また。
翻訳者の作業環境アンケート(2015):結果5(ツール)